Definition.

海外で外国人の方、まあ最近は東南アジアばかりなのだけれども、日本に来たら何が見たいか、という話になると、雪、もしくは桜という答えが圧倒的に多い。まあアメリカ人に聞いたら桜も雪も見たくもないだろうし、ヨーロッパに行ったらサムライとか言われるかもしれない。どうでもいい事だけれども。

 我々日本人は、おそらく、世界の中で一番桜を愛している。昨日は早い朝から井の頭公園から行って来たのだけれど、溢れんばかりの人だかり。隙間無く敷き詰められたシートに陣取ってみんなお弁当やお酒を愉しむ。三脚装備でニコンやキャノンのどでかいズームレンズを付けたカメラが趣味のご老人も、明らかに付き合い始めたばかりっぽい高校生くらいのカップルも、みんながみんな桜に向けてパシャパシャやっている。SNSが全盛となったここ3年くらいの間では、どこの誰もが、どこかしらで撮った桜をアップロードしていて、ネットの世界ですら桜は満開だ。

僕はあまり心が豊かな方では無いので、日本の伝統やら文化やらにはなかなか趣が置けない。こういった桜であるとか、神社の境内や、由緒正しきお寺などに、心が洗われたり、日本人で良かった、と思うことはほとんどない。どうして写真を撮るのか、と訊かれても正直わからない。文章と同じで吐き出し口に良いのだろう。絞りや感度やシャッタースピードからどう映るかを予想して、どういったものが出てくるのがが楽しいだけかも知れない。ズームレンズがつまらないと思うのは、ワーキングディスタンスの点で苦労できないから。

 当然僕の事だから、桜にはすぐ飽きて、他のものを撮り始める。現実逃避は今日だけで、明日からは気が滅入る日々しか待っていないから。

 

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