Monthly Archives: 4月 2012

Definition.

海外で外国人の方、まあ最近は東南アジアばかりなのだけれども、日本に来たら何が見たいか、という話になると、雪、もしくは桜という答えが圧倒的に多い。まあアメリカ人に聞いたら桜も雪も見たくもないだろうし、ヨーロッパに行ったらサムライとか言われるかもしれない。どうでもいい事だけれども。

 我々日本人は、おそらく、世界の中で一番桜を愛している。昨日は早い朝から井の頭公園から行って来たのだけれど、溢れんばかりの人だかり。隙間無く敷き詰められたシートに陣取ってみんなお弁当やお酒を愉しむ。三脚装備でニコンやキャノンのどでかいズームレンズを付けたカメラが趣味のご老人も、明らかに付き合い始めたばかりっぽい高校生くらいのカップルも、みんながみんな桜に向けてパシャパシャやっている。SNSが全盛となったここ3年くらいの間では、どこの誰もが、どこかしらで撮った桜をアップロードしていて、ネットの世界ですら桜は満開だ。

僕はあまり心が豊かな方では無いので、日本の伝統やら文化やらにはなかなか趣が置けない。こういった桜であるとか、神社の境内や、由緒正しきお寺などに、心が洗われたり、日本人で良かった、と思うことはほとんどない。どうして写真を撮るのか、と訊かれても正直わからない。文章と同じで吐き出し口に良いのだろう。絞りや感度やシャッタースピードからどう映るかを予想して、どういったものが出てくるのがが楽しいだけかも知れない。ズームレンズがつまらないと思うのは、ワーキングディスタンスの点で苦労できないから。

 当然僕の事だから、桜にはすぐ飽きて、他のものを撮り始める。現実逃避は今日だけで、明日からは気が滅入る日々しか待っていないから。

 

Manic Monday.

仕事で浅草橋に立ち寄る。法律やら労基やら、まあそんなややこしい話―。

ネットから注文していたコーヒーの生豆(僕は自分でコーヒーを煎るのだ)のお店が近くにあるというので立ち寄る。常備しているマンデリンはラスナのニュークロップ、モカはイルガチェフェのG2があったので500gずつ買う。生豆で買うと、冷暗所においておけば、1~2年は平気だ。そのうちニュークロップでも水分が飛んで煎り易くなる。まあその頃にはすでにニュークロップでは無いわけだけど。あまりにも安いので、ブラジルのハニーショコラとグァテマラのカスカハル、かなりお薦めされたマラウィのゲイシャ種も買ってしまった。僕は1週間でコーヒー豆を100g消費するので、これで4~5か月は安泰である。煎るのは週末に100gずつ。コーヒーは煎った次の日あたりから美味しくなる。煎りたてはガスが抜け切れていないため、胸やけする。ご注意あれ。

ワイルド珈琲さん
http://www.wild-coffee.com/
煎りたての豆もかなりお安い。安いからと言ってカルディの古い豆やスーパーのよくわからんブレンドを買っている方は是非お試しを。

池袋に向かうので、飯田橋で乗り換え。総武線から有楽町線へ。駅前では桜が三分咲きだった。

迷ったが、カメラはK-5を持った。フィルムで撮りたくないなあ、と何故かしら思う。

桜を撮ると思い出すのは、3年前に死んだ親父のことばかりだ。

仕事を退職して何をしだすかと思ったら、親父はフィルムカメラを始めた。何かしらのカメラのサークルに入って、週末には同じような年代の人たちと、時には泊まりで花ばかり撮りに行っていた。いっぱしにブログも持っていて、その仲間たちと話をしていたようだけれど、残念ながら、僕よりもまだ写真が下手というていたらくで、おそらくこの血は写真における才能は(も?)皆無なのだ。

先日、遺品であるそのカメラやレンズが実家から送られてきた。カメラはAFのキャノンのKiss初期型と(これはどちらかというと女性向けのコンパクトカメラなのだが)、レンズの構成は18mm~28mmのSIGMAの広角ズーム、28mm~70mmのカメラに付属しているCANON標準ズーム、70mm~200mmのSIGMAの望遠ズームと、まあ教科書通りの構成で、固い人生を送っていた親父らしいなと思わず笑ってしまった。そろそろデジタルに移行しようかなあ、と亡くなる半年ほど前に相談を受けていたが、きちんと聞いていなかった。そんなに花を撮るんなら単焦点なり、マクロレンズなりを買えと言っておくべきだったかもしれない。歳と病気が理由で、足を使う単焦点がしんどかったのかもなあ、と考えながら、僕はMF専用の単焦点レンズのシャッターを切る。F2.8通しの標準ズームをプレゼントすれば喜んでもらえたかなあ、等と考えながら。

帰ると書類がどっさり郵便受けに。先月から今月のこの苦労が今年のピークであれば良いのだけれども。