Camera talk

昨日、仕事先で知り合った友人や、旧友が紹介してくれた知り合いとカメラの話をしていて、その後に価格comの口コミ等でカメラ選びに関する質問を読んでいたのだけれど、つくづく日本人って贅沢なんだなあと考えていた。

カメラ選びは家選びと似たようなところがあって、ここだけは譲れない、というところが人それぞれあるわけだから、譲れない点におけるカメラのスペックについては理解しておいたほうがいい。そんなものわからん、とりあえず何でも写れば良いと言われるほど困るものは無い。そんなもん、家を探す時に、どんな家でもいいんで宜しく、と言われるのはさすがに不動産屋は困る。本当に何でもいいからカメラ欲しい、ということなら、カメラ屋に入って最初に目に入ったものを買えばよい。まあどうせそのカメラの機能の半分も使いこなせないだろう、と言うのは置いておくとして。あなたがカメラを買うとしてカメラ屋に入った時に聞かれるのは、だいたい次の点だ。これらの点がぜんぜんわかりません、ということであれば、買ってから後悔する可能性が高いので、もう少し検討した方が良いと思う。

僕はまったくプロでは無いし、学校に通ったわけでもない。申し訳ないが、読んで「はぁ?」と思ったら、プロの方のサイトなど幾らでもある訳だから、そちらを参照してほしい。身勝手なようだが、情報の取捨選択は読み手にある。間違いがあった場合はもちろん訂正しますけどね。

1.予算

まあこれを言わないと話にならない。1万円でデジタル一眼はさすがに厳しいし、中古であっても、同じ値段なら、まだ今売ってるコンパクトデジタルカメラのほうが良い。「5万円で最高のカメラを」と言われても弱ってしまう。この質問で「このカメラいいよ!」という人は、自分がそのカメラが欲しいか、そのメーカーの販売員か、そのカメラの持ち主である。当然、他の質問の答えとの組み合わせて答えることになる。

2.今使っているカメラ

これは実は大きい。最も大きな要因は操作性である。絞りやシャッタースピード等の変更の仕方というのは、同メーカーであればまあ似通っているので、少々違うところがあっても、すんなり入っていける。また、その人の技量の目安にもなる。現在のカメラでオートモードでシャッター押すだけ、という人に、マニュアル専用カメラを奨める人はさすがにいない。また、中級以上のデジカメを奨めても無用の長物だろうと思う。勉強していい写真を撮りたい、と言う人はもちろん除くけど。

スマホでしか写真を撮っていない人なら、敷居の高いカメラは薦められないし、これからカメラを勉強したい、ということであれば、カメラの基本となる各設定をきちんと変更できるカメラを薦められるだろう。設定をまったく変更できないカメラと言えば、レンズ付きフィルムとなるが、まさか今の時代、これをメインに据える人はいるまい。中級以上のデジタル一眼なら、ファインダーを覗きながら、各設定を割り当てられたボタンやダイヤルで変更でき、ファインダーから目を離す必要が無い。入門用ならば、ボタンやレバーが少ないことが一般的だ。コンデジなら、一旦、液晶画面に変えたい機能を表示させ、ピッピッとボタンを押して変えなければならない。操作性について色々考えられているコンデジもあるが、直感的に操作が出来ないというのは、カメラを少し齧った人にとっては面倒だ。コンデジの良さはすぐに取り出せてパッと撮れること。それぞれのカメラにはそれぞれのカメラの特性があるのだ。

 

3.現在のカメラで不満なところ

これはけっこう、自分の無学をカメラのせいにしている人が多い。お店はそりゃあ売りたいので、今のカメラから買い替える必要は無い、とは言うことは無いので気をつけなければならないけれど。

「画素数が不満」…「今出てるやつは1600万画素とかでしょう?私の800万画素なので、写真がきれいじゃないんです」と言う人。

「アホか、ちょっとは勉強すれば?」というわけにはいかないので、ざっくり説明すると「画素数」よりも、カタログの最後の仕様一覧に書いている「撮像素子」を比較して、カメラを選ぶのがお勧め。現行発売されている一般のカメラであれば、「撮影素子」が大きくなると値段は上がり、カメラは大きく重くなり、写りが良くなると思ってもらって良い。いろいろ工夫しているカメラもあるけれど。

小さな撮像素子に無理矢理たくさんの画素を詰め込めば、1画素あたりの受光量は減り、どうしても無理が出る。コンパクトデジタルカメラの撮影素子サイズである、1/2.33型に1000万画素とかを詰め込むとか、画素あたりの受光率は減るわけで、画質は向上しないんです。で、この表で言うと、35mm フィルムとコンデジでは、面積比で30倍違う面積で映像を記録しているわけです。

つまり、今使っているカメラの撮影素子より大きな撮影素子のカメラを買えば、画質は良くなる。勿論他の要素もあるけど、細かくなるのでまた暇があれば。

「写りに不満」…「雲の陰影がキレイだと思って撮るでしょう?でも撮ったら、みんな真っ白なんです。キレイに撮れるカメラをください」

このへんもよくある。「オートで撮ってるなら、AFの測位点を暗い場所に合わせてます?」や、「露出を2段階ほど低くしてみればどうですか?」等と言うと、すごく嫌な顔をされたりする。たぶん、こういう人たちは、自分が好きにシャッターを押して、自分の好む写真が撮れないと嫌なのだ。コンデジでの設定変更はデジタル一眼レフと比べてすごく面倒くさい(当社比)けれど、さすがにカメラの所為にするのはかわいそうだ。カメラの作例も今の時代はたんとネットに溢れている。それもオートと、設定を変更した写真をご丁寧に横に並べて。

「夜、蛍光灯の下で子供の写真を撮っても、すごく暗いんです。キレイに撮れるカメラをください」 「風景の緑がキレイに出ないんです。緑がキレイなカメラをください」

これらもおんなじようなもんである。それを「レンズの味」「好みの問題」で片つける人は、店にあるコンデジをオートで撮りまくって、最もピンと来るものを好みで買えば良い。それがその人にとっていいカメラであり、写真なんてそんなもんである。様々な設定変更機能がついているカメラは機能じたいを使わないのだから、コンデジでも良いと思う。ほぼすべてのカメラメーカーは、初心者の方の為に、いわゆる「jpeg撮って出し」で、きちんと写るよう、非常に努力してきているのだ。

まあ前者は性能の問題もある。それは次で。

3.目的

これはでかい。目的によって、絶対に無理なカメラがある。

「風景を主に撮ってるんですが、枠に入りきらない事が多いんです」

ここで「後ろに下がって撮ってください」はさすがにかわいそうである。その人に今のカメラを見せてもらうか、機種を聞いて、そのレンズの最も広角側の大きさを確認。35mmが最大広角なら、24mmか28mmのレンズがついたカメラを奨めることになる。また、ズームしないというのであれば、ズームレンズよりも単焦点レンズを奨める。

「動画が汚いので、きれいに撮れて、写真も撮れるのが欲しいんです」→キャノン(じゃなくてもいいけど)のデジカメを他の要望(大きさ、重さ等)に合わせて。

「絞りを開放にしても、夜、家の中で写真を撮ったらブレるんです」→最終的にISOを上げてザラつくようであれば、明るいレンズがついているカメラをおすすめ

「子供の運動会で使いたいんですが、最大限ズームしても子供が小さいんです」→高倍率ズームを買うしか道が無い

「マクロモードで撮影すると、写真が汚い」→デジタルズームでは無く、モードでは無くマクロレンズを。もしくはマクロモードに定評のある機種を。

目的がはっきりすると、必ず対応できるカメラ(レンズ)がある。なんでも撮れるカメラ、は非常に難しい。オールラウンドレンズを1本持って、目的別のレンズを買い足す事を奨めるけれど、またそこで重い、軽くなったら写りが悪い、と言う。んなもん当たり前なんでね。すごく光学メーカー努力してるの。現状、そういう人はミラーレスでダメなら、そんなカメラありません、でいいと思う。だからEOS-Mはすごく良いと思う。俺は買わないけど。ファインダー無いと嫌なの。

4.大きさ・重さ

上でも述べているけれど、これは基本、写りの良さと反比例すると思ってもらって構わない。この反比例の牙城を崩したのがミラーレスであって、ファインダーとミラーが無い分、非常に軽くなっている。もう少しするとどうなるかわからないけれど、現状は、大きさ・重さと写り、価格とののバランスが最も取れているのが、入門用デジタル一眼、もしくはミラーレスだろうと思う。軽量化に心血を注いだモデルが各メーカーから出ている。

だけどこれがまた今度は、プラボディで安っぽい・頼りないとか、中級以上のモデルは重いとか言い出すんだよなあ。

軽くてフルサイズに負けない写真が撮れて、安くて、レンズが素晴らしいカメラがあれば、みんなほとんどそれを買うだろう。僕は夜に撮ることが多いのと、シャッター時に安定を求めるので、ある程度重いカメラのほうが好きだけど。

5.好きなブランド

これがはっきりしていると非常に助かる。現行モデルの違いだけを説明すればよい。もちろん、現在はディスコンになっている規格のレンズを持って来られて、これを使えるカメラを・・・と言われるのは困ってしまう訳だけど。中古屋へどうぞ。とか言いながら、35mmズミクロン8枚玉を持って来られたりすることも無いとは言えない。あ、現行機種出てるか。

知り合いで家電はSONYしか買わない人もいる。デジカメは家電かと言われると微妙なところだが、それでも立派な理由だと思う。

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何度も言っているようだが、カメラなんてしょせんカメラだし、こうでなければならない、というものは個人的な趣味である限りは存在しない。

撮る理由は何でもいいのだ。誰も文句は言わない。腕が無くたってライカを持っても構わないし、お散歩カメラに大判を持っていったっていい。

ただ、自分が思うようにならないのは、物のせいでは無いことという要素に気付いてない人が多いなあ、と、ネット廻ってて思いました、というお話。

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