Down The Road Tonight 2.

このワット・ドイステープとやらは、観光客の方々も多いのだけれども、どうやら、普通に地元の人々もお参りに来ているようだ。お堂の周りをくるくると周るような儀式や、お線香を炊いたり、日本にあるそれとはかなり異なる様式ではあるのだけれど、きちんとやはりお寺である。マルコポーロは日本を黄金の国と呼んだが、寺だけを見ると、タイのほうがよほど豪勢かつ派手であり、文字通り金ピカである。

標高1000mもあるというのに、わっさと咲くブーゲンビリア。山をよく見ると、ほとんどが赤土である。肥沃で恵まれた地域なのだろう。

カレン族の子供達が民族衣装を纏って踊っていた。曲は何故かタイのポップス。

これは民族舞踊では無いと思うのだけれど。好みのお姉さんだったのでいちおう。

さて、観光をしている時間も勿体ないので、さらに奥のモン族の村に向かうことにする。お寺のふもとの屋台でガイヤーン(焼き鳥)を2本買い、歩き食いしながら、心もとなくなってきたガソリンを補充するため、あちらこちらに聞いて回る・・・が、どうも無いらしい。山の奥へ続く標識を見ると、モン族の村まではあと9km。ガソリンメーターはあと1メモリ。まさか、モン族もガソリンを補充しに毎回、市内まで山道を降りて行くなんてことはしないだろう。まあ村まではなんとかなるだろう、と、いきなり車輌が減った山道を引き続き登る。

ロイヤルパレスガーデンという王族の避暑地?をスルーして(寄れよ)、どんどん道幅が狭くなっていく山道をさらに奥へ。途中、2つの分岐を発見、ううむ。細い方をチョイスし、道は下りへ。車幅はやっと1台が通れるか通れないか。対向が来られると怖いので、降りて写真は撮れず。途中、歳をめされた欧米から来たと思われる男女が三脚を持って、山沿いの植物の写真を必死に撮っていた。研究者か何かのよう。また、10歳くらいの少年がカブに2人乗り×2台。煙草とは違う何かをパカパカやりながらノーヘルで走っていたが。まあうん。

途中、資材置き場があったので少し休憩。そろそろ着いてもいい頃なのだが。そろそろガソリンもやばいし。ドイステープの美しい山稜と、先ほど寄った寺のふもとの町が見える。iphoneはすでに役に立たない。液晶には緑色の丸が点灯している。

さて、ここから先がかなり苦痛だった。道路の舗装がかなり怪しくなってきたからだ、残念ながらスクーターであるからして、下りでの砂利というのは、かなり危なっかしい。時には足を地面に着けながら、ずざざざと走る。

というか、俺、道、間違ったんだなこれ(涙)。

そろそろ時間は4時。街灯なんてもんは勿論無いわけで、日が沈んでからこの山道を運転するのはご勘弁願いたい・・・とちょっと冷や汗が出てきたところで、道が広がり、なんとキャンプ場の標識が。とりあえずガソリンを!小さなインフォメーションと思しき小屋には、風体の上がらないタイ人がゴロ寝。あのーすいません、と声をかける。

「えーすんません、ガソリンないんすけどわけてもらえません?」
「いやあここにはないよ、おまえどこ向かってるの」
「モン族の村に行きたいんですよ」
「あー、ここ抜けて10分くらいしたらあるよ、そこで聞いてみれば?」
「おーよかった、道合ってた!(にしてはとうに20kmは走っているはずだが)」

下りの舗装の怪しい道を、エンジンを切ってずさささと走る。朽ちた木に”この先MON Village”と頼りなく掘られた小さな看板を発見。そして。

えーと、着いた?

山稜にうねうねとした道につらなる住居。しかしながら、観光客なんて人っ子一人いない。というか人の影すらまばらである。何人かのガキが向こうから不思議そうにこちらを見ている。そりゃあこんなとこに日本人が1人でバカスクに乗って来るなんて、おまえらも不思議だろうが、こっちだって予想だにしてない。

つまり僕は、モン族の村には着いたものの、想定していない、かなり奥深くの、モン族の居住区に来てしまったわけだ。さすがにこの風景を見て僕も理解した。

バカスクを停めて、しばらく村内を歩くと、お店らしきものが。そりゃあさすがに、全て自給自足というわけにはいかないわなあ。

店先に、モン族とは言われなきゃわからない普通の出で立ちの少年を発見。身振り手振りでガソリンの無いことを伝えると、わけてあげるよー、と家の奥からビンに入ったガソリンを入れてくれた。助かった。

質素な村なのだけれど、ところどころ、ブーゲンビリアが1本だけ咲いていて、血を思い出させてちょっと不気味。

とりあえずここからは戻るしか無い訳だが、後で調べたら、この先はメーサイという町に抜けれるらしい。が、僕のバカスクでは無理だ。まあさすがに二度と来ないと思われる。

先ほど来た道をえんえんと引き返し、間違えてチョイスした分岐点を逆方向へ。

分岐点から5分ほどで、村のゲートが。どうよこの栄えよう。どこでどう間違ったんだ(分岐点でだよ)。

チェンマイの町よりも安いものもある。ベッドカバーのサンプルをカバンを20個ほど買い付ける。が、僕の欲しいものは、ここまで来ても値段は変わらないようだ。日本人というせいもあるかもしれないけれども。

山を降りた時には日が暮れていた。ワット・ドイステープあたりまでは街灯があるので、なんとか夜道でも行けるかもだけど(どこも開いていないわけだが)、今回はガソリンの入れ忘れ(というか、山の麓にもガソスタがないのだ。市内できちんと入れておくべき)と、道を間違えたこと、バカスクで来てしまったこと等が重なり、ちょっとだけ肝を冷やした。山奥まで行きたい人(まああんまいねーだろうけど)は、オフロードバイクを借りることをおすすめする。

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