Keep the faith.

フィルムの現像が上がって来た。

白黒をはっきりさせたい時期だったのだけれど、使ったフィルムはTri-xで、撮った写真たちは、ものすごく優しい映りをしていた。上の写真は初CONTAXの日に撮った、益子焼のお店の写真。現場のトラブルで予定も信用もお金も吹っ飛び、かなり叱った日。

何をしに益子まで来たんだろう、とすごすごと宇都宮まで再度1時間バスに揺られながら帰っていると、尋常じゃない雪が降って来た。東北新幹線のダイヤも狂い始め、なおかつ、その日に起こった事でたいそう頭痛がしていたので、その日は宇都宮に泊まった。

今になって考えると、人なんてそうそう変わる事は無い訳で、その人の歴史をよく知っている、自分という立場なのであれば、なおさら信頼を置くべきではなかったとも思う。

そもそもキャパシティが無く、自分がどれだけ非道な事をやってきて、また、過去に蓋をして自分がどれだけ人の道を外れていることをやってきたかを見詰めずに、現在の享楽に興じるだけの人間であるのだから、いつかは僕に刃が向かって来るのは必然であった訳だ。

情けをかけ、お金や住む場所や立場や食べるものや更生の機会の面倒を見てきたのは全て僕の自慰であるわけで、彼からしたら、そんなものはただのラッキーでしかなかった訳だ。

僕は、悲しむ人間が増えることの片棒を担いでしまったことに関して、悔恨の念の真っ只中にいたのだけど、こんな事で立ち止まっている暇もないし、悠長な事を言っていられる立場でも無かった。

僕がへこんでいようが、落ち込んでいようが、僕は僕を信頼してくれている周りの人に対して、懸命にやっていくことしか道は無い訳で。

今回ばかりは、危うく、自分が歩んでいる、理想とすべき当たり前の道を踏み外すところだった。白黒なんて最初からついていたのだ。僕は認めたくなかっただけで、懸命にやることで自分を納得させようとしていただけだった。

自分のやるべき事なんて、最初からもう自明であった。迷う事はもう、無い。

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